【レポート】ロックが繋いだ絆と全員で取り戻した「あの景色」。

こんにちは、motto編集部のオオウ(@ounco_coverdeath)です。すっかり夏っぽい日もあったりと思ったら、関東地方ではつい先日梅雨入りが発表されました。ROCKを聴いてそんなジメジメな空気を吹き飛ばしたいですね!さて、早いものでLACCO TOWER主催の音楽フェス「I ROCKS 2023(アイロックス)」から2ヶ月が経過しました。本日は『I ROCKS 2023のDAY2・DAY3』の模様をレポートしていきます。ぜひ、あの日の感動をもう一度味わってください!

1. 終始胸の高鳴りが止まなかったDAY2

初日とは打って変わって、慌ただしいバックヤード。2日目はSPECIAL BANDを含めると14組が出演する。続々と集まる出演者たちと挨拶を交わすメンバー。

2019年以来の参戦となったゆるキャラ『なめじろう』と写真を撮る塩﨑の姿もあった。開場を前に、『DJガッツいわせwithスベリー・マキュリー』による恒例のラジオ体操に多くのオーディエンスが集まった。

毎度、重田によるアドリブ茶番が見もの(スタッフもどこから現れるか把握しきれていない)だが、この日は「大大坊 空の舌」のフードトラックから、架空のラーメン店「なんつっ亭」のラーメン店主に扮して登場。会場を笑いの渦に巻き込んだ。

開場後は、LIVINGに足を踏み入れ、写真を撮ったり物に触れてみたり、物販を求めたりするオーディエンスたちの姿も多くみられた。

YOU STAGEのトップバッターを務めるのは10年目選手の『KAKASHI』。「変わらないもの」「本当の事」と続け、みなぎるものすべてを置いていく。

彼らのアクトを嬉しそうに眺める塩﨑。先日配信リリースされたばかりの新曲「やめろよ」では、サウンドに今の気持ちをすべて乗せて吐き出した。

堀越(Vo&Gt)「当時の故郷編は“群馬のバンドだから”出させてもらえた。BASEでの弾き語りワンマン、JAMでの共演を経て、ようやく自分らもラッコの盟友なんだと思えるようになりました。」と語った。

彼らの意思表示とも受け取れる初期曲「ドラマチック」を放ち、ステージを後にした。物怖じしない堂々としたステージングに拍手喝采を送り続けた。終演後に堀越に声をかけてみると、今までにないくらいの緊張感を覚えたらしく、数曲は足がその場から動かなかったのだそう。危機を乗り越えたバンドは強い。KAKASHIにおいては、改めてそう思わせてくる30分間だった。

【KAKASHI】セットリスト
1.変わらないもの
2.本当の事
3.やめろよ
4.られる
5.違うんじゃないか
6.ドラマチック

昨年は柿澤(Vo&Gt)が『back number』のツアーサポートを務めるため出演を辞退し、2年ぶりの登場となった『秀吉』。今年はサポート2人を迎え入れた5人体制でのステージ。秀吉の楽曲はどれもクオリティが高く、疾走感溢れるロックナンバーからメロウなものまでバラエティに富んでいる。

特に神保(Dr)が加入以降はグッと曲の幅が広くなったと感じている。口火を切ったのは意外にも初期曲「花かざぐるま」。頭はキンキンするのに思う気持ちは温かいことを歌った新曲「あたまがいたいよ」と続けた。2022年の穴を埋めるように、彼らもまた気合十分だ。

「各々2年間色々あったと思うけど、音楽で共有できることがある」とMCで伝えた後、「歩こう」「ピノキオ」を披露。なるほど、5人編成でのI STAGE故に楽曲をかなり選び抜いてきたという印象を受けた。「本当に様々な苦難があって、辛かったと思うけど、それでもI ROCKSを続ける決断をしてくれたラッコにありがとうを伝えたい。」と語り、ラストナンバーは疾走感溢れるギターロック全開の「夜風」で〆た。

完璧すぎるセットリストに興奮が覚めないまま、ライブ後に柿澤と話した。「自分たちだけのエゴだけじゃなくて、もっとみんなの声に耳を傾けてやってみないとわからないものもあるよね。」と、19年間という長いキャリアを積んできた上で、さらに挑戦を重ねている姿に痺れた。正直な話、秀吉はYOU STAGEだろうと予想していたので、タイテ発表があったときに驚いた。実際にライブを観て、良い意味で期待を裏切られた。開催前の対談で塩﨑から「今の秀吉が一番かっこいい」と話があったが、まさにその言葉に偽りはなかったように思う。

【秀吉】セットリスト
1.花かざぐるま
2.あたまがいたいよ
3.歩こう
4.ピノキオ
5.夜風

「何かが始まるワクワク感」を帯びたSE「夜明前ノ行進曲」が鳴り始め、ステージに飛び出していく『LACCO TOWER』。

そんな胸の高鳴りを増幅させるかのように一曲目に選んだのは「未来前夜」。完璧すぎる流れでの幕開けだ。松川(Vo)のボーカル入りで、いつもとは異なるアレンジで始まった「林檎」、どれだけフロアも待ちわびたか分からない奇才・真一ジェットのターン「傷年傷女」と続ける。

筆者の席の前では親子がライブを観ていた。全力で楽しむ父親に、キッズが「パパ楽しい〜?」と声をかけている姿に胸が高鳴った。もちろん、アーティストの演奏を観にきているわけだが、筆者はフロアやオーディエンスの表情やそういった一瞬のやりとりを見られるのもライブの醍醐味だと思っているからだ。松川は「今日出てくれたみんな、同じように3年間過ごしてきた。10年間かけて作ってきた家だから、そんな簡単に壊れない。言葉には体温がある。」と語り、放たれたのは「雨後晴」。

この楽曲は、2018ザスパクサツ群馬の公式応援ソングとして、元々声を出すことをコンセプトに制作されている。筆者も楽曲が完成する瞬間に立ち会わせてもらい、一聴して全身の毛穴が広がった感覚を今でも覚えている。それくらい彼らにとっても、今後ライブアンセムになりうる可能性があると確信していた楽曲だ。今年は声出しが解禁され、コール&レスポンスが巻き起こる景色も取り戻した。

「今日出てくれた仲間、みんなカッコ良かったよな?」と松川が問いかけると拍手が鳴り止まなかった。「バンドの故郷・群馬で何か楽しいことがしたいと始めたI ROCKS。徐々に手を差し伸べてくれる仲間が増えてきました。声出しできるようになってから最後の曲はみんなで歌いたいと思っていました。」と披露されたのは「愛情」。彼らが受けてきたいくつもの恩を愛で返すというストーリーに富んだ流れだ。大人も子供たちも「ラララ」と口ずさんでいる光景がたまらなかった。アンコールの「青春」では、塩﨑がステージ袖の盟友たちに向かってプレイして見せた。しっとりなんて終わらせない、駆け抜けるような彼ららしい2日目の〆だった。

【LACCO TOWER】セットリスト
SE.夜明前ノ行進曲
1.未来前夜
2.林檎
3.傷年傷女
4.雨後晴
5.藍染
6.愛情
EN1.青春

2. それぞれのストーリーが鳴り響いたDAY3

3日目、開場前からすでに多くのオーディエンスが入場ゲート前に集まっていた。塩﨑は「バンドたちにエールを送ってあげてね。本当に良いイベントにしていきたいからよろしくね。」と最終日の開催を宣言した。

YOU STAGEのトップバッターは『oldflame』。コロナ禍で生まれた応援歌「ヒーロー」で口火を切った。

狩野(Vo&Gt)は「I ROCKS、今年はただいまが言えました!去年、oldflameはI ROCKSに帰ってくることができませんでした。啓示さんからは出してあげられなくてごめんって言われましたけど、完全に自分たちの実力不足を感じました。」とI ROCKSヘの並々ならぬ想いを漏らした。開催前の対談でも語っていたが、彼らはその悔しさをバネに昨年自主企画「aisuru.FES」を開催した流れがある。

そのような背景も相まり、「愛するこの場所から」には様々な感情が入り混じっていたことだろう。重田のコール&レスポンス「今日は今日しかねぇからな!」を真似る藤原(Dr)。3人は2年ぶりにもぎ取ったステージを終始楽しんでいた。ラストナンバーは切ない恋愛ソング「グッバイ、グッナイ」。「またね」と歌詞に込めたように、必ずこのステージに戻ってくることを約束した。

【oldflame】セットリスト
1.ヒーロー
2.ビター
3.メリーゴーランド
4.愛するこの場所から
5.グッバイ、グッナイ

DAY2・3ともに朝のラジオ体操という役割を任されていた『DJガッツいわせwithスベリー・マキュリー』。やっと本来の出番を迎えた彼らだが、I ROCKSには欠かせない存在となっている。いわせ(DJ)が対談で「お客さんにグッとくる瞬間を与えたい」と語っていたが、I ROCKS初開催の2014年に一音目を鳴らした『back number』に重ね合わせるように、彼らの楽曲「高嶺の花子さん」からスタート。

『BRADIO』『THE BACK HORN』とストーリーを感じさせる今年の出演者の楽曲をかけたかと思うと、『サカナクション』『ヤバイTシャツ屋さん』など全方位の楽曲を並べ、フロア全体を踊らせてみせる。今年に入り、恒岡(Dr)の訃報もあった『Hi-STANDARD』の「STAY GOLD」を挟んできたところもさすがの一言に尽きる。彼らのステージにはメッセージや強い想いが溢れている。袖で微笑む重田にも伝わっていたはずだ。徐々にフロアの人数も増えていき、あわや入場規制に。『LACCO TOWER』の「林檎」では全員を座らせ、一斉にジャンプさせてみせた。

スケジュールの都合上、今年の出演が叶わなかった『FOMARE』の楽曲「愛する人」をかけると会場全体が音楽に乗って楽しむ姿が痛快だった。いわせはジャンルを超えてロックバンドを愛しているので、フロアと同じ目線で選曲をしてくれる。そして、スベリーとの掛け合いも含めてI ROCKSに欠かせない時間なのである。満員のフロアに向かって「みんな次のIvyかっこいいから観てね!」とバトンを繋いだ。

【DJガッツいわせwithスベリー・マキュリー】セットリスト
1.高嶺の花子さん / back number
2.スパイシーマドンナ / BRADIO
3.モス / サカナクション
4.あつまれ!パーティーピーポー / ヤバイTシャツ屋さん
5.林檎 / LACCO TOWER
6.刃 / THE BACK HORN
7.STAY GOLD / Hi-STANDARD
8.愛する人 / FOMARE
9.一夜 / LACCO TOWER

開催10年の歴史の中で初年度から皆勤はラッコを除いて立ったの2組。そのうちの一つ、『Ivy to Fraudulent Game』の登場。彼らが1曲目に持ってきたのは、ポップな曲調に感情をすべて乗せて歌い上げる「革命」。

サポートGtには同日にラインナップされているircleから仲道良を迎えた。温かい雰囲気で幕を開けたわけだが、ライブの安定感が明らかに増している。メンバー脱退を一切感じさせないだけでなく、改めてホールライブが似合うバンドに成長しているのだ。

「オートクチュール」では会場を掌握し、カワイ(Ba)の生き生きとしたパフォーマンスを見せる新曲「ハイパーイメージ」を続けた。完成度の高い音源にライブならではの熱量を掛け合わせたところに彼らの魅力がある。魅せるライブからともに作るライブのクオリティも格段に上がっている。本人たちもライブを楽しんでいる姿が最高にロックを感じた。寺口(Gt&Vo)は「自分の好きなことだけやって生きてきました。半年間、色々あるんだなって思いました。例えば、隣で泣いている人がいるなら自分も悲しい気持ちでいなければならない。決してそんなことはなくて、自分は笑っていてもいいんだよって思えるようになって、すごく気が楽になりました。故郷で行われるI ROCKSは本当に報われる瞬間なんです。」ここでドロップしたのは思い入れ十分の「故郷」。

この楽曲はI ROCKSへの出演を経て、福島(Dr)が製作したもの。何年もの時間を経て、きちんと曲が育ってきているような印象で、青臭さも残しながら懐に入ってくるような感覚を覚えた。ラストは彼らの代名詞ともなった「Memento Mori」。彼らの10年目は「青」よりも「赤」な彼らの30分間だった。

【Ivy to Fraudulent Game】セットリスト
1.革命
2.sissy
3.オートクチュール
4.ハイパーイメージ
5.故郷
6.Memento Mori

大トリ前ということもあり、会場内にはどこか緊張感も入り混じった空気が流れていた。SEを背にステージへ向かう『LACCO TOWER』のメンバーたち。

初手、「一夜」から始めると会場の盛り上がりは一気に最高潮に達した。さらにジャズのエッセンスもありつつ、激しい転調が彼ららしい「奇妙奇天烈摩訶不思議」では無数の拳が上がり、会場全体からオイコールが飛び交った。

2曲目にしてすでに熱気が凄まじいのはいうまでもない。松川(Vo)が「楽しい!!本日一番の声を出そうか!」と煽り、展開されたのはライブを重ねるごとに彼らの十八番へと進化を遂げていった「火花」。

オーディエンスに休ませる隙を与えない、大トリらしいセットリストを展開していく。「止まない雨はないし、出ない声も出るようになる。」どこか松川自身への応援歌のように聴こえた「雨後晴」。

この日もステージ袖の盟友たちに向かってプレイする塩﨑、細川の姿もあった。「I ROCKSは自分たちでやっていても、不思議だなって感じます。フェスの形自体は当初描いていたものとは異なるけど、〝家〟と謳うようになったのはステージに立った出演者たちが「ただいま」と言ってから始まりました。

けれども、変わっていないこともあって、すべて俺たちラッコの手の中にいる人たちで作り上げているフェスだということ。照明、音響、カメラマンやステージの床に貼ったライトも誰がやったか俺らは全部知っている。それがI ROCKSなんです。日々の生活に疲れたら、死にたくなったら、ここに帰ってこい。」松川のアツいMCが胸を刺す。I ROCKSはラッコの血が通ったフェス。10年間携わらせてもらって感じるが、それは間違いない。

彼らは出演者だけでなく、スタッフや出店者など外部のスタッフにも挨拶を交わす。故に誰が連れてきたか分からない人がいないのである。彼らにとって、関わるすべての人がファミリーなのかもしれない。アンコールを求める際にフロアから沸き起こる「ラッコ節」が本編で披露された。「ありがとうな!幸せになれたか?」と同時にドロップされたのは「薄紅」。

細川・塩﨑はギターソロパートで見つめ合い、心から音楽で繋がっている様子を垣間見られて微笑ましく思えた。演奏が終わると塩﨑は深々と頭を下げてステージを後にした。「ラッコ節」と手拍子が次々に伝染し、フロア全体に響き渡る。ステージに戻ってきたメンバーがそれぞれ思いを語った。塩﨑は「バンドを組んで20年、会社を設立しI ROCKSを始めて10年。個人的に色々重なりすぎました。今年の景色を見て、来年も絶対にやりたいって強く思えました。ありがとう。」と、来年の開催に前向きな意思を示した。

重田は「みんな、声が出せるようになって良かったな!全バンドのライブを観ていてそれぞれとの思い出が蘇ってきたぜ。それと、遅くなってしまって申し訳ないけど、みんなでケイスケにおかえりって言ってやってくれ。」と、取り戻せた景色の喜びをオーディエンスと分かち合った。細川は「すべての人へ、ラッコに出会ってくれて本当にありがとう。自分がジストニアという病気を発症してしまってから、毎回最後のステージになるかもしれないと思うようになりました。だからこそ、僕は小さなことでも身の回りの人たちに感謝できるようになりました。」と、感謝の気持ちを伝えた。お決まりの「おーい!」と挟んできた真一は、「あの景色を取り戻そうっていうテーマは、初心に帰って一から始めようってメンバーで話し合って決めました。」と、今回の開催に対する想いを吐露した。

最後はもちろんI ROCKSのテーマ曲「星空」。彼らの10年間の歩みを象徴するかのような歌詞が多くの人の胸を打っただろう。まだ終わってほしくないという気持ちと、来年もここに戻ってこなくてはという思いが交錯しながら最後の一曲を噛み締めた。

【LACCO TOWER】セットリスト
SE.
1.一夜
2.奇妙奇天烈摩訶不思議
3.火花
4.雨後晴
5.灯源
6.ラッコ節
7.薄紅
EN1.星空

3. 一堂に会した千差万別の盟友たち

盟友たちの印象的に残った部分も書き残したいと思う。2日目、朝イチからフロアをパーティー会場に変え、一人残らずパーティー会場へ誘ったお祭り番長『BRADIO』。I ROCKSのステージを心から楽しむ様子は、友人が家にやってきて一緒にゲームをしているような感覚だった。I ROCKSにメロディックパンクという新しい風を吹かせた『Dizzy Sunfist』。彼女らもまた、オリジナルメンバーであるBaの脱退という苦難を乗り越えてきたバンド。あやぺた(Vo&Gt)は「対バンの数よりも、どれだけ心を通じ合わせられたかの方が大事。戦い続けているLACCO TOWERはすごい!これからもよろしく!」と語った。

エモーショナルなロックやバラードで魅了した『SHE’S』は、「Dance With Me」で大いにフロアを盛り上げ、彼ららしく次にバトンを繋いだ。もはやI ROCKSに欠かせない顔となった『Rhythmic Toy World』『ラックライフ』。リズミックは一曲目から「僕の声」を放ち、フルスロットルで駆け抜けた。PON(Vo)はMCで「ラッコほど仲間を大切に想う人たちはいない。もしラッコがこの先ダサくなったら俺らはI ROCKSに出ないし、ラッコも同じ気持ちだと思う。」と強すぎる想いを伝えた。

陽が傾き始める頃、松川が数少ない友人と語る『中田裕二』が登場。艶のある声色でYOU STAGEをムーディーな雰囲気に染め上げた。マスコットのI子ちゃんになぞらえて『aiko』の「ボーイフレンド」をSEに登場した『忘れらんねえよ』。柴田(Vo)は「菅田将暉です。」とジョークを交えつつ「I ROCKSは最高のフェス!TikTokでバズれば出してもらえるんですか?違う、I ROCKSはロックフェスなんだよ!」と訴えかけ、「アイラブ言う」を届けた。『THE BACK HORN』が登場し、初っぱな「刃」で大人も子供も身体を揺らすオーディエンスたち。ラジオで療養中の松川が山田(Vo)に相談していたことを明かし、「うちらは25周年、この先も一緒に歩んでいけたらと思う。」と語った。

最後のI ROCKS出演としてYOU STAGEのトリに立った『goodtimes』。ラッコへの想いを「命の種」に乗せて「咲きほこれ」と歌で伝えた。フロア後方で涙ぐみながら拳を突き上げていた塩﨑の姿があった。『アルカラ』は5年ぶりにI ROCKSカムバックとなった。「薄紅」のカバーを挟むなど、ラッコへの愛情を表現しトリのラッコにバトンを繋いだ。

3日目のトップバッターを務めたのは初登場『kobore』。ステージ袖で声をかける重田と真一の姿があった。「群馬お久しぶりっす!」疾走感溢れるツービートに真っ直ぐなボーカルを乗せ、フロアを温めるのには十分すぎる。佐藤(Vo&Gt)は、「約束はきっちり守るバンド、ラッコタワー。ケイスケさんおかえり!」と、松川の復活を祝った。ぶっつけ本番、「あなたがいればいいのに」で松川が飛び入り参加した『LEGO BIG MORL』。念願のステージを楽しんでいる様子が痛快だった。カナタ(Vo&Gt)の「愛してるぜ、I ROCKS!」が会場に轟き渡り、十八番「RAINBOW」で〆た。

バンドとしては初登場となった『ABSTRACT MASH』。村松(Vo&Gt)が「実は出会いは約18年前、結成から2〜3回目のライブでラッコとは出会っていて、所属事務所も一緒だった」と告白。会場を包み込むオルタナティブなサウンドに日本詞、英詞を織り交ぜたアブスト色に染め上げた。軽やかにステージを舞い、会場との一体感を生み出していく『パスピエ』、紅一点、ギター片手でフロアを音楽に酔わせる『片平里菜』。ジャンルで括られない絆で繋がったアーティストたちのパフォーマンスが続く。

ラッコの腐れ縁『NUBO』が登場し、「実際にサークルは作れないけど、やれること全部やろう!」というMCに呼応して、両腕を高く伸ばし身体を揺らすオーディエンスたち。「Circle」ではピースフルなフロアを作り上げた。予測不能な展開で圧倒した『八十八ヶ所巡礼』はI ROCKSの歌として「金土日」を披露。彼らもまた超絶技巧という新しい風を吹かせてみせた。

ロックンロールでYOU STAGEをライブハウスに変えた『ircle』。「笑ってI ROCKSを終わらせよう!」河内(Vo&Gt)のシャウトがこだました。「I ROCKSに戻ってきました」と、2019年のI ROCKSツーマンのタオルを掲げた『SUPER BEAVER』。「俺たちにとって数少ない兄貴。I ROCKSとLACCO TOWERに送ります。」と、強すぎる愛を吐露した。「東京流星群」ではステージを余すことなく使って盛り上げ、ホールをライブハウスに変えてみせた。

4. ロックの魂が息づく現場

あっという間に今年の3日間が終わってしまった。I ROCKSという〝家〟に帰ってくることを楽しみに、一年間を過ごしてきた人も多いだろう。筆者は3日間、じっくりフロアからステージ、そしてバックヤードまで見させてもらった。間違いなく、様々な面で「I ROCKSでしか観られない景色」がそこにはあったと思う。ライブに関しては、語弊を恐れずに言うならば、「I ROCKSならではの輝き方をするアーティストが多い」といったところ。「LACCO TOWERが連れてきた仲間」として、ファンがジャンルを超えてそれらの音楽に触れているからだろう。非常に音楽に対する純度が高く、近年のアーティスト主催のフェスにおいても稀有なケースに思う。

I STAGEとYOU STAGEの違いはホールとスタンディングではあるが、単に優劣ではなくそれぞれのスタンスやライブスタイルを考慮してで割り振られている。そこも含めて「ならでは」の光景がある。JAMを経て復活した『SPECIAL BAND(※出演者からメンバーをかき集めたこの日限りの合同バンド)』がI STAGEで演奏した意味などを考えると非常に感慨深い。出演者たちがLACCO TOWERやI ROCKSを心から愛していて、アーティスト同士の絆を垣間見られる瞬間も多くあった。

そして、I ROCKSの特長はホールライブなので座席があるところ。プレミアムチケットなら指定席なので、席取り合戦に巻き込まれることなく快適に観ることができる。みなかみで行われている『New Acoustic Camp』や『MACHI FES.』にも通ずる部分だが、フルキャパシティでも余裕を持たせているので、ごった返すこともなくストレスフリーに過ごせるのだ。

そしてファミリーにも楽しんでもらえるようにと、キッズスペースも設けられている。フェスにおいて居心地の良さはこの先も重要になってくる要素だろう。

MCで松川が話していたことに重なるが、あの日を作り上げてきたスタッフたちとの関係性にも触れておきたい。ステージ袖で待機するラッコメンバー。そこに筆者も含めたスタッフたちを集め、全員で円陣を組み、「ろれるりラッコ!」と気合いを入れた。

終演後にはI ROCKS BASEや会場の片付けをメンバー・カメラマン・スタッフなどで行った。みんな疲れ切っているはずだが、「なんで自分がやらなければいけないんだ。」と文句を垂れる人は一人もいない。良い一日を作るためには、やはり人なんだなと改めて思った。

通常は舞台の裏側なんて見せない方が良いのかもしれない。けれども、I ROCKSという現場は彼らの血が通った、正真正銘のロックフェス。バンドとバンドの対バンのような繋がりが張り巡らされている。それぞれ持ち場は異なるが、同じベクトルで表現をしているのだ。そんな素敵で浪漫溢れる部分を記事にせずにはいられない。まだ正式な発表はないが、来年も開催されることを楽しみに日々を過ごしたいと思う。

その前に、音楽が鳴る場所へも足を運び続けたい。まずは、来月に控えた彼らの周年イベント『独想復活祭』が待っている。もちろん筆者も駆けつけるつもりだ。

「復活」をキーワードに開催されるので、興味がある方はぜひ足を運んで欲しい。そのほかにもI ROCKS BASEにて『BASE編』の予定が多数組まれている。こちらも併せてチェックしてみて欲しい。

PROFILE
LACCO TOWER(ラッコタワー)
2002年、伊勢崎市出身のメンバーを中心に結成。2015年『日本コロムビア(トライアドレーベル)』よりメジャーデビュー。「ドラゴンボール超」「ザスパクサツ群馬」「伊勢崎オートレース」など、数々のタイアップソングを手がけるほか、地元である群馬県にて2014年からロックフェス『I ROCKS』を主催している。
[WEB]https://laccotower.com/
[Twitter]@LACCO_TOWER

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▼クレジット
撮影/鈴木公平、藤川正典、藤村聖那
文/佐々木覆(troisdesign)

※掲載情報は取材時と変更になっている場合もあります。最新の情報は公式HP・SNS等にてご確認ください。

【4/7〜4/9】I ROCKS 2023

[所在地]
伊勢崎市昭和町3918(メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎)
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