こんにちは。motto編集部ライターのERIです。みなさん元気にしていますか?短い秋が過ぎ、気付けば外はすっかり冬の匂いですね。最近は、毎日夕方になると北風が強くなり、冬が好きな私は「やっとこの季節がやってきたぞ」とワクワクします。つい最近、私の古くからの台湾人の友人が日本に遊びに来ていたので、数年ぶりに会ってきました。ちょうどお土産に台湾茶やお菓子やYOGAグッズなどをもらって、思う存分お喋りしてきたところなのですが・・なんと本日紹介する『FINE HUAYIN(ファイン ファイン)』は台湾茶のお店なんです。なんだかとってもタイムリー!不思議な偶然もあるもんですね。
1. コーヒースタンドが手がけるお茶屋さん

2025年6月に、桐生市末広町にオープンしたばかりの『FINE HUAYIN』。台湾茶を中心に、中国茶や日本茶も販売するお店です。桐生駅北口にある人気コーヒースタンド「NORRY’S COFFEE」の姉妹店です。「NORRY’S COFFEE」からドン・キホーテの方面に徒歩1分、末広通り沿いにあります。

最近の台湾のカフェのトレンドは、トラディショナル×カジュアルだそう。『FINE HUAYIN』もそこを意識し、台湾にありそうなカフェをイメージしているとのことで、和洋中が入り混じる、ちょっと不思議でどことなくノスタルジックな空間になっています。

内装はベージュと白のツートンのモダンカジュアルな雰囲気。BGMでは台湾のラジオが流れ、台湾をモチーフにしたインテリアはもちろん、店内の至るところに「台湾の香り」が漂っています。
2. 巷でも話題の「台湾茶」

空前の台湾ブームで注目を浴びる台湾茶。1810年に中国福建省・アモイの商人が茶の苗木を伝えたのが、台湾茶の歴史の始まりといわれています。

台湾には、阿里山、杉林渓、梨山、猫空など沢山お茶の産地があります。標高が高い山地で栽培される高山茶が多く、標高が高くなればなるほど、味と香りが繊細で品質が高くなるといわれています。台湾の茶畑は、山間部に青々としたとても綺麗な景色が広がっており、藤井風さんなどアーティストのミュージックビデオの撮影でも使われたりしているので、その風景を画面越しなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。そういった影響もあるのかないのか、台湾旅行の際に茶園巡りをする方も多くいらっしゃるとか。

台湾茶の茶葉は、丸い玉のような形をしています。熱いお湯を注ぐことで、小さく硬く揉まれた玉が大きく広がり、摘んだ時の葉の姿に戻ります。これは茶葉を刻まないフルリーフならではの、台湾茶の醍醐味でもあります。有名なお茶の品種は、阿里山高山茶、凍頂烏龍茶(鹿谷郷)、日月潭紅茶(魚池郷)、東方美人茶(北埔)、鉄観音(猫空)など。日本で売られているものもありますし、見たり聞いたりしたことのある名前もチラホラありますよね。

台湾茶の大きな特徴の一つが、別名「香りのお茶」とも称される烏龍茶が多いことです。実は台湾では紅茶も緑茶も生産されているのですが、圧倒的に烏龍茶を代表とする青茶が多いのだとか。烏龍茶は、不発酵の緑茶と全発酵の紅茶の間とされる「半発酵茶」に分類されます。そのため、爽やかさがありながらも旨みやコクもあるという、味のバランスがとても優れています。また発酵の幅が広く、華やかな花や果実のような香りがあり、銘柄によって風味が異なります。このバリエーションの豊かさも、台湾茶の大きな特徴です。

3. お茶を愉しみましょう

『FINE HUAYIN』は、コーヒー屋さんによるお茶屋さん。「NORRY’S COFFEE」で培われた淹れ方や提供の仕方が存分に活かされ、コーヒースタンドならではの視点で、エアロプレスで茶葉を抽出しています。コーヒーのプロが淹れる一杯は、スッキリしているのにしっかりと茶葉の個性が際立つ味わい。

オーナーの小林さん曰く、「嶺頭単欉」は「お茶界のゲイシャ(※ゲイシャ:コーヒーの品種で華やかな香りが特徴)」のイメージに近いのだとか。マスカットフレーバーの華やかな香りのプレミアムな一杯。

「紅烏龍」はバナナのような香りとカラメルの余韻が特徴で、ミルクティーがおすすめ。

実は、日本の「茶道」のように、台湾や中国にも「茶芸」というものがあります。今回は、蘭の花のような香りとジャスミンの余韻が広がる爽やかな「四季春茶」を使用し、烏龍茶を淹れる時の作法でもある台湾式茶芸「功夫茶」を簡単にご紹介。

沸騰したお湯を茶壺に注ぎ、蓋をして茶壺を温めます。茶壺のお湯を茶海に注ぎ、茶海を温めます。続けて茶海のお湯を聞香杯に注ぎ、温まったら口杯に注いで温めます。このように、茶器をよく温めることで、茶葉本来の味と香りを最大限に引き出すことが出来ます。茶葉を茶壺に入れ蓋をし、茶壺を振り、蓋を取って茶葉の香りを楽しみます。

茶壺にお湯を注ぎ、そこから茶海にお茶を注ぎます。

茶海のお茶を聞香杯(香りをかぐための杯)に注ぎます。そして聞香杯に注いだお茶を口杯に移します。

聞香杯に残った香りを深く吸い込んで愉しみます。聞香杯は、乾き始めると香りがより強くなります。

口杯のお茶をゆっくり愉しみます。

中国語で「功夫」は「丁寧な技や時間をかける」という意味になり、「功夫茶」とは文字通り「丁寧に時間をかけて淹れるお茶」の作法なのです。お茶の繊細な味わいを深く楽しめるよう工夫(功夫)されており、複雑な淹れ方を超えて、視覚(お茶を淹れる動作や茶葉が広がる様子)、嗅覚、味覚、触覚(茶器の温もりや質感)までを巻き込む感覚的な体験が出来ます。また、同じ茶葉を何度も淹れることで、毎回新たな風味の層が現れたり、口当たりの変化を楽しむことが出来ます。

自宅で茶器を揃えて・・となると、少し敷居が高く感じられますが、『FINE HUAYIN』では、本格的な功夫茶もゆっくり気軽に味わうことができます。

日本の茶道は「道」である以上、型や行為そのものが美学であるのとは対照的に、台湾や中国の「茶芸」はあくまでも生活の中から生まれた嗜みであり、「お茶をどう美味しく飲むか」という考え方が根底にあります。

お茶を美味しく淹れる知識や技術はもちろん必要かもしれませんが、茶道ほどの細かい作法や決まりごとはありません。あまり堅苦しく考えず、いつでもどこでも、仲間と美味しいお茶を囲んだら、そこが「お茶会」になるのです。台湾茶会のそんなおおらかさが、たまらなく素敵ですね。
POINT

そして台湾といえば、スイーツ系も見逃せません。現地では、プリンとティラミスが特に人気だそう。もちろん『FINE HUAYIN』でも絶品スイーツを愉しむことが出来ます。

提拉米蘇(ティラミス)は「NORRY’S COFFEE」のエスプレッソを使用。しっかりとした大人のビターな味わいと甘さが、お茶に合いますね〜。

牛軋糖(台湾ヌガー)は、ミルクとバターをベースにナッツやドライフルーツをたっぷり混ぜ込んだ、ソフトキャンディーです。ねっとりと、サクサクの不思議な食感がクセになる、お茶のおともにもぴったりなお菓子です。

4. 桐生の台湾で、ぜひ特別な時間を

店名の「HUAYIN」は、漢字で「華陰」。・・実は台北市内に「華陰街」という問屋街のような商店街のようなエリアがあるのですが、筆者はお店の名前を聞いた時に真っ先にそのエリアが思い浮かびました。いつも行列が出来ているドーナツ屋さんがあったり、台湾っぽいフルーツが売っていたり、コスメやアクセサリーが売っていたり、お土産になりそうなものも、ならなさそうなものも沢山売っていて・・なんだか懐かしい雰囲気・・かと思えばお洒落なゲストハウスやカフェがあったり、とても魅力的な場所なんです。

聞いた話によると『FINE HUAYIN』のオーナー・小林さんは、数年前まで「NORRY’S COFFEE」の台湾支店を、この「華陰街」のゲストハウス内に展開していたというではありませんか!そういう所縁や物語性って、とっても素敵ですよね。

しかも、以前何かの記事で拝見したのですが、台湾の店舗の名前もユニークで、3人のオーナーの国籍(台湾、香港、日本)の頭文字を取って「tahoja(タイホージャ)」=現地の言葉で「すごく美味しい」の意味がかかっているのだそう。センス抜群すぎます!

少し話が逸れてしまいましたが、『FINE HUAYIN』のお店は、まさにそんな華陰街にあるような、トラディショナルでありながらモダンな、最近の台湾の雰囲気を味わえます。

テイクアウトも可能なので、桐生に来られた際には気軽に立ち寄って、奥深い台湾のお茶文化に触れてみてはいかがでしょうか。

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PROFILE
こぴ
群馬県太田市出身。2019年よりYouTubeチャンネル「こぴ」を開設し、歌声とビジュアルで話題を集める。2024年現在、SNSの総フォロワーは80万を超える。テレビ番組「情熱料亭すぎ村(TOKYO MX-1)」レギュラー出演、Netflix「こねこのチー ポンポンらー夏休み」主題歌、ベスト電器CM第二弾歌唱。また、元看護師の経験を活かし、「アンメット ある脳外科医の日記(フジテレビ)」に出演を果たした。舞台やモデルとしての経験も踏むなど、マルチに活躍中。
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▼クレジット
モデル/こぴ
ヘアメイク/馬場宏美
コーディネート/ハットリミカ(encounter)
衣装/encounter
撮影/三木康史(troisdesign)
文/ERI

※motto vol.41「あちこちこぴたび」の記事を一部転載しています。
※掲載情報は取材時と変更になっている場合もあります。最新の情報は公式HP・SNS等にてご確認ください。