【高崎市】新しいけど懐かしい、心の拠り所となる神社へ。

こんにちは。motto編集部ライターのERIです!今日は、群馬県高崎市に鎮座する安産子育ての神社、『山名八幡宮』をご紹介します。2015年から始まった「山名八幡宮リニューアルプロジェクト」で、日本を代表するクリエイター達による社殿や社務所等の建築リノベーション、御守りなどの授与品のデザイン一新などで当時話題となリ、その名を聞いたことがある方も多いでしょう。今回は、その背景にあった思いや、神職が描くこれからの『山名八幡宮』の姿について、話を伺ってきました!

1. 『山名八幡宮』とは

山名八幡宮は今から847年前、平安時代の1175年に創建され、「安産子育ての神様」として親しまれています。地元の人たちのみならず、県外からも多くの参拝者が訪れるそうです。御祭神として、品陀和気命 (ほんだわけのみこと – 応神天皇)、息長足比売命 (おきながたらしひめのみこと – 神功皇后)、そして神霊を宿す巫女とも言われる玉依比売命(たまよりひめのみこと – 比売大神)の三柱が祀られています。 

2. 人とのつながりを大切に

山名八幡宮は、神社の本来あるべき姿を今一度見つめ直し、「ハレの日」だけでなく「日常の場」としての機能を活かせたらとの思いで、2015年頃から「山名八番宮リニューアルプロジェクト」と題し、神社を通して地域を活性化させるコミュニティ作りをはじめました。

まずは、境内にある子連れでも気軽に行けるカフェ「mico cafe(ミコカフェ)」や、天然酵母と国産小麦のパン屋「PICCOLINO(ピッコリーノ)」、定期的に開かれる「なんぱち縁起市」といったイベント等をはじめとして、神社の周辺から、人が集まりやすい「活動の場」づくりに取り組んだそうです。放課後の時間帯は英会話スクール「まなぱる」や、放課後デイサービス「はちまん」を境内に誘致するなどして、だんだんと日常的に境内に子どもたちの声が響き渡るようになってきたとか。たくさんの人たちの手で、神社を中心に地域を盛り上げています。

3. 100年先にも残る、時代を超えたデザイン

2016年には、より山名八幡宮らしさを追求し、境内の社殿や神楽殿、授与所等のリノベーションを行いました。社殿や神楽殿、授与所の設計は、ルイ・ヴィトン京都大丸店等を手がける建築家、永山祐子さんによるもの。永山さんのお父さまが群馬のご出身だったり、永山さんご自身が子育て真っ最中のお母さんだったりと、色々なご縁が繋がり、リノベーションを依頼したそうです。

新しいモノを足していくのではなく、既存の空間を活かして引き算をしていくことを意識し、「100年先にも色あせない祈りの場」をつくりあげて頂いたとのこと。御守り等を扱う授与所は、天井を取り除き壁の上部にガラスをはめ込むことで、建物の中から上を見上げると、昔の屋根が浮いているようなどこか非日常的な空間にも感じられます。

神楽殿の設計デザインも、永山さんによるもの。赤ちゃんを包むおくるみをイメージさせる、白く透け感のある麻の布を使用し、柔らかかつ清らかな雰囲気のファブリック空間に。

授与品の監修、アートデザインは、バイヤー・クリエイティブディレクターの山田遊さん、EDING:POSTの加藤智啓さんによるもの。御守りの絵柄は、山名八幡宮にまつわる物語がモチーフになっており、たとえば安産の御守りには二股大根、子授けの御守りには境内の陰陽神木の葉、交通安全の御守りには山名一族が交通の手段として大切にしていた馬などがデザインされています。

POINT

車社会の群馬ではよく見かける山名八幡宮の「BABY ON BOARD」(赤ちゃんが乗っています)のマグネット御守りは、赤ちゃんのおくるみのようなデザイン。 あまりに好評だったので、「KIDS ON BOARD」(子どもが乗っています)、「PREGNANT ON BOARD」(妊婦さんが乗っています)バージョンもできました。

4. 見どころ色々

筆者独自の視点で、山名八幡宮の見どころをご紹介します。

こちらは、本殿に施されている、明和6年に作られた「神獣」の彫刻です。一箇所だけ、あえて未完成の部分があるとか。ぜひ探してみてください。

社殿にお参りしたら、陰陽合わせの意味で裏神様にも手を合わせましょう

七福神の紅一点、弁財天様も祀られています。

子宝に恵まれるとされている陰陽神木のムクノキは、樹齢500年以上だそう。

山名八幡宮は、参道の上を上信電鉄の線路が通っている、大変珍しい神社でもあります。タイミングが合ったら、自分の真上を電車が通るという体験ができるかも!?

5. 神社をもっと身近に感じてほしい

最後に、境内の案内をしてくださった神職の山口権禰宜に、これからの山名八幡宮について語っていただきました。

「皆さんには、年に数回人生の節目やお正月に訪れる『ハレの場』としてだけでなく、神社をもっと『日常の場』と感じてもらいたいです。神社というのは元々、人が集まる場所だったんです。「可愛くてオシャレな御守りがある」とか、きっかけは何でもいいと思いますので、散歩がてらちょっと良い空気を吸いに来たり、イベントがある時にお参りしてみたり、世間話をしに来たりと、気軽に足を運んで、神社をもっと身近に感じてもらえたら嬉しいです。境内には広場もあるので、子どもたち(大人も!)の遊び場としても大歓迎ですよ!」100年後までも見据え、伝統を守りながらも時代に合わせた新しい試みに挑戦し、人と人とのつながりを大切にする山名八幡宮。ぜひ足を運んでみてください!

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▼クレジット
撮影・文/ERI
写真提供/山名八幡宮

山名八幡宮

[所在地]
高崎市山名町1510-1
[TEL]
027-346-1736
[営業時間]
9:00~17:00(社務所)
[定休日]
なし
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