こんにちは。motto編集部ライターのERIです。みなさん元気にしていますか?夏も近づき、ビールがますます美味しい季節になってきましたね〜!最近はコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで色々な種類のビールが購入できるので、気軽に買ってプシュッ!ゴクゴク!プハーッ!と喉越しを味わうのも最高の瞬間なのですが、個人的には旅先などでその土地の個性的なクラフトビールを見つけて、じんわり堪能するのが大好きです。今回はビール好きからの評価も高い『上州富岡ブリュワリー』をご紹介します!
1. 半世紀ぶりに富岡市に酒造が復活

コロナ禍真っ只中の2021年夏、群馬県富岡市内にて創業した『上州富岡ブリュワリー』。オープン当初は地元新聞などに取り上げられ、大きな話題になりました。というのも、富岡市内で酒類の製造が行われていたのは1970年代まで。約50年ぶりに新規の酒造が復活したとのことで、ビール好きだけではなく、お酒好きのコミュニティの間でも噂になっていました。

上州富岡駅から徒歩ですぐ、住宅地の中に佇む『上州富岡ブリュワリー』。醸造所とタップルームが併設されている店内は、キッチンカウンター内の壁に8本のタップ(ビールの注ぎ口)が並んでおり、オンタップで鮮度抜群のクラフトビールが楽しめます!

内装はグレーがかった壁面と木目のカウンターで、ビールを美味しくじっくり味わえるだけでなく、写真映えしそうな空間。真ん中の壁の白と木目の組み合わせが、どことなくビールのようにも見えてきますね・・。
2. そもそもクラフトビールとは?

そもそもクラフトビールというのは何ぞや?という方のために簡単に説明すると、ブルワー(造り手)たちの創意工夫により独自のレシピや製法で生まれた、個性的で魅力的なビールを指します。大手メーカーとは異なり、小規模な醸造所がこだわりを持って製造するビールで、アメリカのオレゴン州ポートランドやカリフォルニア州サンディエゴは「クラフトビール発祥の聖地」として知られ、たくさんの醸造所があります。最近では、日本国内でもクラフトビール醸造所が全国各地にできたり、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで毎年2回開催される「けやきひろばビール祭り」などの大きなビールフェスも開催されていて、クラフトビールが人々に親しまれています。

Wikipediaによると、クラフトビール発祥の地アメリカでは、クラフトビールの定義として「年間生産量が600万バレル以下で、大手企業に支配されていない独立系の醸造所」を指すそうです。1970年代後半に、ホームブリューイング(自宅でのビール作り)が合法化され、多くのビール愛好家がビール作りに着手。クラフトビールのムーブメントが新しいカルチャーとして広がりました。

一方、日本でクラフトビール製造が始まったきっかけは、1994年の酒税法改正にありました。それまでは、ビールの年間最低製造数量が2,000キロリットルと酒税法で決まっていたため、大手メーカー以外がビール市場に参入することが物理的に不可能でした。1994年の酒税法改正で、年間最低製造量が60キロリットルに引き下げられたことをきっかけに全国各地に小規模ブリュワリーがオープン!「地ビール」と呼ばれる少量生産のビールが登場し、国内産のビールにも多様性が生まれました。

なお2017年時点では、日本でのクラフトビールの定義として「小規模なビール醸造所でビール職人が精魂込めて造っているビール」「品質を重視して、ビール職人が手塩にかけて造るビール」と曖昧な意味で用いられることがほとんどでしたが、2018年5月に全国ビール醸造者協議会(JBA)がクラフトビールを以下のように定義しました。
⚫︎酒税法改正以前からある大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。
⚫︎1回の仕込み単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで行い、ブリュワー(醸造者)が目の届く製造を行っている。
⚫︎伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。
・・とまぁ簡単に説明するとこんな感じですが、クラフトビールが世に出回り今日に至るまでは、紆余曲折があったようで、実際はもっともっと奥が深いものであります。クラフトビールの歴史も、調べてみると面白いですね。興味がある方は、是非とも『上州富岡ブリュワリー』の店員さんに、色々と聞いてみてください!
3. 地域の素材を生かしたクラフトビール

『上州富岡ブリュワリー』のクラフトビールは、樽の中のビールが壁に並ぶタップ(注ぎ口)から直接グラスに注がれます。樽ごと冷蔵庫で冷やすことで、瞬間冷却で提供するサーバーよりも品質を保ちやすく、より新鮮なビールを味わうことができます。

芳醇な香りのエールタイプながら飲みやすさを重視した、唯一無二の味を楽しめるのが『上州富岡ブリュワリー』の特徴。常時10種類前後がお店に並びます。定番のIPA(インディ・ペール・エール)に加え、マイクロブリュワリーらしい、地元の食材を組み合わせた個性的なラインナップも充実しています。

例えば、富岡市や甘楽町の無農薬ゆず・りんご・キウイ、富岡市の生姜、長野原町のいちご、安中市の梅など、地元富岡市やその周辺地域の農家で生産された、季節の材料を使用しているビールが人気です。

特に、カクテルのような味わいのフルーツビールがおすすめ。数ヶ月の間漬け込むので、フルーツや食材の風味はするけど甘くはないとのこと。例えば、世間一般で有名なベルギーのフルーツビールなんかは果実感があったり甘いイメージがあるのですが・・『上州富岡ブリュワリー』で味わえる日本(群馬)ならではのフルーツビール、気になりますよね!

フルーツビール以外にも、甘楽町のオリーブの葉を使っているビールなんかは、実ではなくオリーブの葉の苦味を生かしてホップの量を微調整したり、独自の味を追求されています。種類豊富なので、クラフトビール初心者から上級者まで飲み飽きません。さらに、種類ごとにグラスを変えるこだわりようで、どれもこれも一番美味しい状態でいただけます!私もいつか全種類制覇してみたいです。
POINT

おつまみにも注目!皆さんは、富岡のB級グルメ「ホルモン揚げ」を知っていますか?

県外出身の私はてっきり、豚のホルモンを揚げたものかな~と思っていたのですが・・実はホルモンではなく「ちくわ」にパン粉をつけて揚げたもので、富岡市内のお肉屋さんやスーパーなどで食べることができるんです(ちなみに、ちくわが大好きな私は、初めてホルモン揚げを食べた時にほっぺたが落ちそうになり、何軒かホルモン揚げをはしごしました)。

『上州富岡ブリュワリー』では、元祖「河合商店」から引き継いだ「ホルモン揚げ」を堪能できます。ビールに超絶合うので、是非に!

また、麦芽の搾りカスから生まれたという栄養面でも優れている「グリッシーニ」もおすすめです。芳醇な香りとポリポリ食感がなんだかクセになるんですよね・・。なんとこちらは手作りのため不揃いなところもオツですね!他にも、ビールに合うおつまみが色々ありますので、是非試してみてください。

4. 『上州富岡ブリュワリー』誕生秘話

地元の素材を生かしてクラフトビールを造る『上州富岡ブリュワリー』オーナーの新井さん。以前から、アメリカで行われていたホームブリューイング(自宅でのビール作り)に興味があったのだそうです。そんな新井さんが『上州富岡ブリュワリー』を作るきっかけとなったのは、2018年7月に起きた西日本豪雨でした。岡山県倉敷市の障がい者施設に併設するクラフトビール醸造所が洪水により被災した際に、醸造所で働いていた障がいのある子たちが泥水の中を泳ぎ醸造所の方々を救助したというニュースを見て、驚いたそうです。

元々、薬剤師としての豊富な経験と実績をもとに、介護事業や障がい者グループホームを運営していた新井さんは、その時クラフトビール作りが障がい者雇用につながることを知り、地元富岡でもできるのでは?と考えたそう。また、富岡市にはまだ無かったクラフトビールを製造することで、富岡地域の発展や活性化を図りたいと思い立ち、創業を決めたそうです。

当時ニュースの映像に映っていた、岡山市の「吉備土手麦酒醸造所」の永原さんという醸造歴15年のブリュワーの方に連絡を取り、岡山まで会いに行ったそうです。すると永原さんが「群馬県から岡山県まで通うのは大変だろう」ということで、東京で醸造をしている一番弟子の能村さんを紹介してくださいました。それから新井さんは、本業の介護事業の運営や薬剤師としての業務の傍ら、3年間醸造の修行をし、免許を取得したそうです。新井さんの行動力が素晴らしい・・!!

また、ご自身も生まれつきの聴覚障害を持っているという新井さん。「障がいを持った子たちが自立して一人で食べていくには・・」と考え、将来的に障がい者が働ける場所を作りたいとの思いもあるそうです。そのためには、「まずは自分たちが醸造できるようになり、地産地消にこだわった地場産のビールを醸造し・・その原材料を作る農家さんにお願いをして、障がい者の雇用の場や、その仕組みを作ってあげたい」とのこと。現在は瓶ビールのラベル貼りや梱包作業、農園での作業など、製造工程を通して働ける場所を提供しています。

今後は、自身の薬剤師の知識を生かしたクラフトビールなども研究開発していきたいという新井さん。また、地元の遊休農地を活用して、ホップや麦を生産したり、障がい者の雇用機会ももっと作り出せたらとのこと。夢が広がりますね!

初めての方も入りやすい雰囲気や新井さんのお人柄が良きです!富岡市に訪れた際には、是非立ち寄ってみてください。(飲酒運転は絶対にNGなので、公共交通機関や代行を使いましょう!)
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PROFILE
こぴ
群馬県太田市出身。2019年よりYouTubeチャンネル「こぴ」を開設し、歌声とビジュアルで話題を集める。2024年現在、SNSの総フォロワーは80万を超える。テレビ番組「情熱料亭すぎ村(TOKYO MX-1)」レギュラー出演、Netflix「こねこのチー ポンポンらー夏休み」主題歌、ベスト電器CM第二弾歌唱。また、元看護師の経験を活かし、「アンメット ある脳外科医の日記(フジテレビ)」に出演を果たした。舞台やモデルとしての経験も踏むなど、マルチに活躍中。
[X]@kopichan_
[Instagram]@kopiyama_
[TikTok]@kopisan_
[YouTube]@kopikopi
▼クレジット
モデル/こぴ
ヘアメイク/馬場宏美
コーディネート/ハットリミカ(encounter)
衣装/encounter
撮影/佐々木覆(troisdesign)
文/ERI

※motto vol.39「あちこちこぴたび」の記事を一部転載しています。
※掲載情報は取材時と変更になっている場合もあります。最新の情報は公式HP・SNS等にてご確認ください。
上州富岡ブリュワリー
- [所在地]
- 富岡市富岡1426-1
- [TEL]
- 0274-67-7266
- [営業時間]
- [平日]15:00~19:00、[土]11:00~20:00、[日]11:00~18:00
- [定休日]
- 水曜、木曜